墨出しの応援は、いつ相談すると間に合うのか
人が足りないかもしれない。でも確定していないから、まだ聞くのは早い気がする。この記事はそう考えている方に向けて、確定前に相談したほうが結果が変わる理由を書きます。前日に電話をして断られるのは、人が空いていないからだけではありません。
前日依頼が断られる本当の理由
人が空いていても入れないことがあります。書類です。
新しい会社を現場に入れるには、安全書類の提出が要ります。作業員名簿、資格の写し、保険の加入状況。一定規模以上の工事なら施工体制台帳への記載と再下請負通知も必要です。
この準備が、作業日程より先に律速になります。 慣れている会社ならテンプレートを持っていて即日出せますが、それでも元請側の確認と受理に時間がかかります。慣れていない会社だと往復で数日です。
前日に電話をして「人はいるが今回は難しい」と言われるとき、断りの理由の相当部分がここにあります。
時期ごとに何が選べるか
| 時期 | 選べること |
|---|---|
| 2週間以上前 | 会社を比較できる。範囲を切って請負にもできる |
| 1週間前 | 対応できる会社を探せる。書類も間に合う |
| 数日前 | 受けてくれる会社を探すのが精一杯。割増も避けにくい |
| 前日・当日 | 断られる確率が高い |
比較ができるのは2週間前までです。それを過ぎると「探す」になり、さらに過ぎると「受けてくれるところがあれば」になります。
金額の話も同じで、余裕があるうちは範囲を切って請負にする選択肢がありますが、直前になると常用しか組めません。段取りが詰まっていれば待ち時間も費用になります。
分岐点になる4つの局面
外注の相談が必要になるのは、たいてい次のどれかです。共通しているのは、着工前の計画が甘かったのではなく、途中で前提が変わったという点です。
躯体が上層階に進んだとき。 低層のうちは1フロアずつ進みます。上層階に入ると下の階で仕上げが始まり、上の階で躯体が進む。自社の人員は変わらないのに、同時に墨を出す面だけが増えます。
複数棟・複数工区が並行したとき。 1棟なら回せた体制でも、2棟同時では倍にはなりません。移動時間が発生し、段取りの切り替えが増えます。「人数は足りているが移動で1日が終わる」という状態は、増員のサインです。
突貫に入るとき。 遅れを取り戻すために稼働日を増やすとき、墨出しがボトルネックになると他が進みません。この局面では墨出しを先行して出しきる段取りが効きます。後工程が追いつく前に墨が待っている状態を作れば、他職が止まりません。
既存の外注先が動けなくなったとき。 これまで頼んでいた会社の人員が他の現場に取られた。よくあることです。問題は、手が空いてから代わりを探し始めると、すでに手遅れになっていることです。
増員しても解決しない場合がある
人を増やせば片付くとは限りません。次の3つは、増員が効きません。
判断が要る仕事。 仕上墨のように納まりの判断が必要な箇所は、人数を増やしても分担できません。判断できる人が1人入るほうが速い。
段取りが詰まっている。 材料待ちや他業種との重なりが原因なら、墨出しの人を増やしても止まったままです。
現場のルールが特殊。 説明に時間がかかる場合、教える側の手間が増えるだけになります。
手が足りないのか、判断できる人が足りないのか。 ここを区別してから手を選ぶと外しません。1人だけの応援で職長クラスが入る体制に意味があるのは、後者のケースです。
確定前の一報が効く
「来月から2棟同時になる。まだ確定ではないが、人が足りなくなるかもしれない」
この一報があるかないかで、いざというときに動けるかが変わります。受ける側は、確定していなくても人の段取りを考え始められるからです。
外注の相談は、決まってからするものではありません。 現場の所在地と時期の見込みだけでも伝えておくと、後の選択肢が広がります。